ここまで、成年後見に関するさまざまな誤解について解説してきました。
・不動産は売却できない? → できます
・家族がいれば不要? → そうとは限りません
・相続対策になる? → 原則なりません
・自由にお金を使える? → 使えません
・途中でやめられる? → 原則やめられません
では結局のところ、
成年後見は、どのような人が利用すべき制度なのでしょうか。
今回は総まとめとして、「使うべき人」と「慎重に検討すべき人」の特徴を解説します。
成年後見を使うべき人
まずは、成年後見の利用が強く検討されるケースです。
■ 財産管理がすでに難しくなっている
・預貯金の管理ができない
・支払いの遅れが目立つ
・重要な書類の判断ができない
この段階では、本人を守る仕組みが必要です。
■ 悪質商法などの被害リスクがある
判断能力が低下すると、不利な契約を結んでしまう危険があります。
成年後見人には取消権があるため、被害の防止につながります。
■ 不動産の売却や施設入所など、重要な法律行為が必要
契約行為には法的な判断能力が求められます。
家族だけでは対応できない場面では、成年後見が大きな支えになります。
■ 身寄りがない、または家族の支援が難しい
継続的に支援する人がいない場合、制度の利用価値は高くなります。
成年後見は、生活基盤そのものを支える役割を持っています。
慎重に検討すべき人
一方で、成年後見が必ずしも最適とは言えないケースもあります。
ここを理解することが非常に重要です。
■ 相続対策を考えている
成年後見が始まると、
・生前贈与
・積極的な資産活用
・節税対策
などは原則として難しくなります。
成年後見は
「財産を守る制度」であり、「財産を動かす制度ではない」ためです。
■ 柔軟な資産管理をしたい
例えば、
・不動産の組み替え
・投資判断
・家族への資金援助
こうした柔軟な判断は制限される傾向があります。
■ 判断能力がまだ十分にある
この場合は、
・任意後見
・遺言
・家族信託
など、将来に備える方法を検討できる可能性があります。
早い段階で準備するほど、選択肢は広がります。
成年後見は万能ではありません
ここまでお読みいただいた方はお気づきかもしれませんが、
成年後見は「良い制度かどうか」で判断するものではありません。
重要なのは、その方の状況に合っているかどうかです。
制度にはそれぞれ役割があります。
だからこそ、「とりあえず成年後見」という考え方はおすすめできません。
実務で感じる、最も多い後悔
現場でよくお聞きするのは、次の言葉です。
「もっと早く相談しておけばよかった。」
判断能力が低下してからでは、選択肢が大きく限られてしまいます。
逆に言えば、元気なうちの相談こそが最大の備えなのです。
谷口事務所が大切にしていること
谷口事務所では、成年後見を単独の制度としてではなく、
・相続
・不動産
・財産管理
・将来設計
まで含めて総合的に検討しています。
大切なのは、成年後見を使うことではなく、
その方にとって最善の方法を選ぶことです。
ご本人にも、ご家族にも、長く安心が続く選択を。
そのためのお手伝いができれば幸いです。
シリーズを終えて
成年後見は、人生に長く関わる重要な制度です。
正しい知識を持つことで、将来の安心は大きく変わります。
本シリーズが、皆さまの判断の一助となれば幸いです。
成年後見についてお悩みのことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
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